新築分譲マンションの販売チラシは、5万枚配布して問い合わせが1〜2件ということも珍しくありません。「反響が少ない=効果がなかった」と判断してしまう前に、チラシにQRコードを付けて計測すると何が見えるのか。本記事では、実際に5万枚のポスティングで得られたデータをもとに、QRコードを活用した効果測定の考え方をご紹介します。
新築分譲マンションのポスティングが抱える課題
新築分譲マンションは商材単価が数千万円〜数億円と非常に高額です。そのため1件の成約が持つ価値も大きく、5万〜10万枚規模のポスティングを実施して問い合わせが1〜2件でも、費用対効果としては十分に成立します。
もっとも、5万枚を配るとなれば配布費用も相当な額です。1枚あたりの単価がサイズや配布期間でどう変わるかは、チラシポスティング費用|1枚単価の相場と安く抑える5つの方法で扱っています。
一方で、従来のポスティングには大きな課題がありました。それは「問い合わせ件数しか測れない」ことです。5万枚配布して問い合わせ1件であれば、わかるのは0.002%という反響率だけ。そのエリアに購入を検討している人がどれだけいたのか、チラシがどれだけ読まれたのかは、まったくの手探りでした。
弊社の計測では、不動産業の反響率は0.01〜0.03%、1万枚あたり1〜3件です。業種別の目安はポスティング効果はどれくらい?反響率0.01〜0.3%の実態にまとめていますが、不動産はもともと低い水準にあります。母数が小さい以上、問い合わせ件数だけを並べても、良かったのか悪かったのかを判断する材料になりません。
事例:QRコード付きチラシを5万枚配布した結果
そこで、新築分譲マンションの販売チラシに「間取り図が見られるQRコード」を掲載し、5万枚のポスティングを実施しました。QRコードにはエリアごとに識別できる計測用URLを設定し、スキャン数を記録できるようにしています。
結果は次のとおりです。
- 配布枚数:50,000枚
- 問い合わせ:1件
- QRコードのスキャン(間取りの閲覧):13人
問い合わせ件数だけを見れば従来と変わらない結果です。しかし、QRコードの計測によって初めて、問い合わせには至らなかったものの「チラシを手に取り、わざわざスマホをかざして間取りまで確認した人」が13人いたという事実が可視化されました。
問い合わせ1件の裏にいた「13人の潜在顧客」
間取りを確認するという行動は、単にチラシを眺めるのとは異なります。「この物件、住み替え先としてどうだろうか」と具体的に検討した人の行動です。つまりこの13人は、今回は問い合わせに至らなかっただけの潜在顧客と捉えることができます。
従来の「5万枚で1件」という数字だけでは、次の打ち手を判断する材料がありませんでした。QRコードのスキャン数を測ることで、そのエリアにマンションの買い替え・購入を検討している層がどの程度存在するかまで推定できるようになったのです。
このエリアでは潜在顧客が一定数いることがわかったため、単発で終わらせず定期的にポスティングを継続、検討層に繰り返し接触してリードナーチャリング(見込み顧客の育成)を行う方針につながりました。

エリア比較でわかった配布優先度の違い
QRコード計測の価値は、エリア間の比較でさらに明確になります。
別のエリアでも同じく5万枚を配布したところ、問い合わせは同じ1件。ところがQRコードのスキャンはわずか2人でした。問い合わせ件数だけを見れば2つのエリアは同じ成果ですが、潜在顧客の数には大きな差があったことになります。
2つのエリアの数字を並べると、違いがどこにあるのかがはっきりします。
| 項目 | エリアA | エリアB |
|---|---|---|
| 配布枚数 | 50,000枚 | 50,000枚 |
| 問い合わせ | 1件 | 1件 |
| 反響率 | 0.002% | 0.002% |
| QRコードのスキャン | 13人 | 2人 |
この結果から、後者のエリアは検討層が薄いと判断し、ポスティングの優先度を下げる意思決定ができました。同じ「反響1件」でも、その中身によって次に取るべき施策は正反対になります。これがQRコード計測のもたらす分析力です。
QRコード計測で可能になる3つのこと
不動産ポスティングにQRコードを組み合わせると、次のことが可能になります。
- 潜在顧客の可視化:問い合わせに至らない検討層の存在を、スキャン数という行動データで把握できます。
- エリアごとの優先順位づけ:同じ配布枚数・同じ反響数でも、スキャン数を比較することで「継続すべきエリア」と「優先度を下げるエリア」が切り分けられるのです。
- 次回施策への接続:反響率だけで終わっていた振り返りが、「このエリアに再配布する」「訴求内容を変えて検証する」といった次のマーケティング施策の設計につながります。
まとめ:反響の「一歩手前」を測るポスティングへ
問い合わせという最終成果だけでなく、その手前にある「関心を持った人の数」を測ること。それがQRコードを活用したポスティングの本質です。
スキャン数は中間KPIにあたります。問い合わせや成約といった最終成果の手前に置いて、そこへ向かう途中の行動を数える指標のことです。5万枚を配って問い合わせが1件という母数では、最終成果だけを見ていても、配布の良し悪しを判断できるだけの数が集まりません。商材単価が高く反響件数が少ない不動産業界では、なおさらです。手前の行動を数えておけば、成約を待たずに次のエリアを決められます。
ティラミスでは、QRコードによる反響計測を組み込んだポスティングをご提案しています。配布して終わりではなく、数字で測り、次の一手につなげる。エリア選定や計測設計についてのご相談は、お気軽にお問い合わせください。
よくある質問
Q. 不動産のチラシは何枚配れば反響が出ますか
A. 弊社が計測している不動産業の反響率は0.01〜0.03%、1万枚あたり1〜3件です。今回の新築分譲マンションの事例でも、5万枚の配布で問い合わせは1件でした。商材単価は数千万円〜数億円です。この枚数で反響が1件でも、費用対効果は十分に成立します。
Q. QRコードのスキャン数はどう考えればいいですか
A. 絶対値ではなく、エリアどうしの比較で読むのが基本です。同じ5万枚を配って問い合わせが1件ずつでも、スキャンが13人だったエリアと2人だったエリアでは、検討層の厚みがまるで違います。スキャンする人はチラシを見た人の一部です。実数は少なめに出る前提で扱ってください。
Q. 効果測定はいつ締めればいいですか
A. 弊社のQRコード計測では、反響は配布完了から3日後まで出続けます。毎日ポストを開ける住人もいれば、2〜3日に一度しかポストを開けない人もいて、ポストを確認する頻度に差があるためです。集計の締め日は配布前に決めておきましょう。
Q. 問い合わせがゼロだったエリアは、もう配らないほうがいいですか
A. スキャン数を見てから決めてください。問い合わせがなくてもスキャンが出ているなら、関心はあるのに行動まで至っていない状態です。今回の事例でも、スキャンが2人しかなかったエリアは優先度を下げ、13人が間取りを見たエリアは配布を続ける判断をしました。
Q. QRコードのリンク先には何を置くべきですか
A. 新築分譲マンションの事例では、間取り図が見られるページを置きました。間取りを確認する行動は、単にチラシを眺めるのとは質が異なり、住み替え先として具体的に検討した人のものだからです。あわせて、エリアごとに識別できる計測用URLを設定しておくと、どのエリアからのスキャンかを切り分けられます。